ヨーロッパ人狼戦線２

嫌な予感が当たったと言いますか、
思いのほか早かったと言いますか、
・・・来週、また大きな戦いが始まるようですね。

メガリス『闘神の独鈷杵』の力の代償、
――所有者の親しい人や馴染みの土地を滅ぼす破壊のエネルギー――
未だコルシカ島に渦巻くこの力を、人狼騎士を率いる、
『顔の無い男』こと『清廉騎士カリスト』は利用しようとしていた。

「ヨーロッパの世界結界を破壊する」

無論、そんな企みを許すわけにはいかない。
だが、『闘神の渦』の力を得ようとしているのは、彼らばかりでは無かった。
銀誓館と敵対する『原初の吸血鬼』の軍団も、その活動を開始していた。

毎度のことではありますが、ね。
敵の動き、そして目的が不透明というのは、
やはり、中々に厳しいものがある。

人狼、カリストの目的は「世界結界の破壊」なのは確実、
しかし、「世界結界の破壊」の後、何を望んでいるのかは、未だ不明。
吸血鬼の一団に至っては、もう何もかもが解っていない。

・・・ふむ、損な性分だとは思うのですが、
私などはつい考えてしまうのですよ。
どちらか一つ、諦めなければならないとしたら、どちらを取るべきか、とね。
先の＜大いなる災い＞を例に取れば、
一つは『大いなる災い』の打倒、一つは妖狐の捕獲、といった具合に。

ですが、今回に限っては、そんなことを言ってはいられない。
人狼の側も、吸血鬼の側も、狙いは『闘神の渦』です。
メガリスの代償としての力を、平和利用するとはとても思えない。
・・・出来るとも思えないの方が、正確かもしれませんね。

しかし、こうも思うのですよ。
もしかすると我々にとっては、今の状態の方が有難いのかもしれない、と。
何も解らず、気を抜く要素の一つも無いのなら、
良い情報に寄りかかるような策を取ることなく、
迷うことなく、全力を投じる構えを取ることができるわけですから。
・・・ゴーストチェイサーに、ドローミの代償を背負わせるようなことも無く、ね。

・・・・・・ふむ。

甘ったれた事を言うのは止めにしますか。
私は全力を出せば、それでいい。
こけることなど、走る前から考えていても仕方がない。

余計な事は考えず。今はただ、走ることだけを考えますかね？
速く走るコツなんてのは・・・きっとそんなもんですから。